銅造薬師如来坐像御正体残闕
どうぞうやくしにょらいざぞうみしょうたいざんけつ
概要
鏡板(神体)に仏像(仏体)を接合した御正体(みしょうたい)と呼ばれる神仏一体の礼拝仏で、社寺の本堂に掛けられて祀られるので「懸仏(かけぼとけ)」とも呼ばれている。この御正体は、明治初年の廃寺の際に若澤寺から檀家に移されたもので、背面の鏡板を失っているので「残闕」とする。堅実な作風で、鋳造技術も的確である。左手に薬壷を持つので薬師如来とわかるが、珍しく「波状髪(渦を巻き、波型に刻まれた頭髪)」であり、薬壷の位置も膝上でなく、胸の前に高く、図像的にも興味深い作風である。現在の後背および台座は後補である。