紅濃茶萌黄段八橋模様唐織
べにこいちゃもえぎだんやつはしもようからおり
概要
加賀藩主前田家に伝来した能装束の一領である。『伊勢物語』の八橋を表したもので、八橋と杜若の他に、流水と河骨も添えられている。
附属の畳紙墨書によれば文化8年(1811)閏2月に完成したもので、この月には12代藩主・前田斉広が慰能を催して、自ら何番も舞った記録が残る。この際に着用されたのであろう。
大正9年(1920)刊行の『能装束模様百佳選』第8巻にも「前田侯爵家珍蔵」として部分図が掲載され、古くから知られた名品である。