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紙本墨画猿猴図屏風 長谷川等伯筆

しほんぼくがえんこうずびょうぶ はせがわとうはくひつ

概要

紙本墨画猿猴図屏風 長谷川等伯筆

しほんぼくがえんこうずびょうぶ はせがわとうはくひつ

日本画 / 安土・桃山 / 中部 / 石川県

長谷川等伯

石川県

桃山

縦162.4㎝、横241.2㎝

2曲1隻

石川県七尾市小丸山台1丁目1番地

石川県指定
指定年月日:20180130

七尾市

有形文化財(美術工芸品)

 本図は、右扇の右端下部から大きな樹木の幹が2手に分かれ、その内1本は画面中央を横切って左扇へ伸び、樹木の根元周辺には岩と笹が配されている。右扇の樹木の上には猿が1匹座り、欠損しているものの、右側には子猿の小さな手が確認され、肩の上に子猿を乗せた母子猿であったことが分かる。一方、左扇には枯木にぶら下がる父猿らしき猿が描かれている。等伯は中国の禅僧画家・牧谿が描いた猿猴図に学んで、同画題を好んで描いており、等伯が描いた他の猿猴図作品とも近似している。
 猿の毛描きについて、本図では縮れたような独特の描き方であり、他作品と異なる部分があるが、これはあえて描き分けたものと解釈される。足の立体感は的確に描写され、顔の濃墨の施し方、淡墨の上から鋭くかつ丁寧に描き込んだ毛、笹の勢いあるタッチや右端中頃の濃墨の樹葉などは、まさに等伯の表現とされる。また、猿以外の描写では、特に枝先をあらわす勢いのある墨線の筆法に優れている。
 制作年代については、淡墨を基本とした柔らかいタッチの50歳代前半頃と、線自体に重きを置き、濃墨を多用した豪快な筆さばきの60歳代前半頃との中間期、50歳代後半頃の筆と思われる。
 形状については、画面の構図や、右扇と左扇の各中心に縦の変色が見られることから、現状は6曲屏風の4扇分で、以前は左右にもう1扇ずつあったと考えられるが、描いた当初は、さらに大きな寺院内壁貼付画の一部だった可能性もある。

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