小袖 白綸子地菊網文字模様
こそで しろりんずじきくあみもじもよう
概要
小袖とは、袖口の開きが狭いという意味から来る名称で、今の着物の原型です。白くつやのある絹地に散らされた、縁取りのある青いもようは、魚をとる網なのだそうです。もともとは海辺で漁師が網を干す情景をもようにしたものが、時代につれて網だけが残り、幾何学的なデザインモチーフになったのでしょうか。
さらによく見ると、あちこちに文字があるのにお気づきでしょうか。前面には「午」「風」「煙」「江」「軽」「香」、背面に「露」「暁」「宮」「匂」などの文字が散らされています。漢詩の一部かもしれませんが、はっきりとはわかっていません。どの文字がどこにあるか、わかりますか?ぜひ、見つけてみてください。
網の目の部分は絞り、文字や菊の花の一部には、刺繍と、型を使って絞りの模様を摺り表す摺匹田(すりびった)と呼ばれる技法が使われています。
文芸的要素や、小袖全体に華やかに配される模様は、ともにみやびやかな王朝趣味が好まれていた元禄期の小袖の特徴といえます。