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臨王羲之思想帖軸

りんおうぎししそうじょうじく

概要

臨王羲之思想帖軸

りんおうぎししそうじょうじく

/ / 中国

包世臣筆

制作地:中国

清時代・19世紀

紙本墨書

135.0×60.0

1幅

 この掛け軸は、中国・清時代の後半、19世紀に活躍した包世臣(ほうせいしん)が、書の大家として有名な4世紀の「王羲之」(おうぎし)の手紙、「思想帖」(しそうじょう)の書を写したものです。
 書きぶりは実に個性的で、にじみとかすれのコトンラストがはっきりとした、立体感のある書です。筆の鋒先(ほさき)を開いたり閉じたり、ときに鋒先(ほさき)をよじらせるようにして筆を運ぶことで、線は太く細く変化し、クネクネとした曲線を描きます。かすれたところも細いところも、線は弱さを失わず、この特異な書きぶりを我がものとしているように見受けられます。
 包世臣(ほうせいしん)は、4世紀から6世紀ころ、中国の北魏(ほくぎ)時代の石碑(せきひ)に彫り記された、気力のみなぎった、荒々しく力強い書に美を見いだしました。それを再現しようとした彼は、ご覧いただいている作品のような、独特の書き方を提唱(ていしょう)します。その筆法は、北魏(ほくぎ)時代の荒々しくも美しい書だけでなく、王羲之(おうぎし)に代表されるような、洗練された華麗な書にも応用しようと試みられました。包世臣(ほうせいしん)の理論は、当時さかんとなった、石碑の書に学び自らの書に生かすという書の一派、「碑学派」(ひがくは)の展開に大きく寄与しました。
 この書の不自然なまでに作意的(さくいてき)な筆法は、包世臣(ほうせいしん)が自らの理論を実践したものとみられます。粘り強く重厚な線に、筆者の理想が表れているのではないでしょうか。

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