漆皮箱
しっぴばこ
概要
動物の皮革を木製の型(かた)に押し当てて箱のかたちに成形し、麻布を張って漆を塗り重ねて仕上げる漆皮の技法で作られた被蓋造(かぶせぶたづくり)の箱です。蓋・身ともに縁には補強のための紐(ひも)をめぐらし、角(かど)は大きく削(そ)ぎ面を取っています。正倉院宝物に類似する品があり、奈良時代の製作と考えられます。漆皮は軽量で堅牢なため奈良時代に盛んに用いられましたが、変形しやすいため、平安時代以降は次第に衰退していきました。本品は文様(もんよう)等も見られない簡素な箱ですが、類例の限られる漆皮の遺例として大変貴重です。