雀の発心
すずめのほっしん
概要
今回ご紹介する作品は、室町時代から好んで読まれた、御伽草子(おとぎぞうし)と呼ばれる絵入りの短編の物語です。
主人公・雀の小藤太(ことうた)には子どもがいましたが、蛇に食べられてしまいます。なぐさめにやってきた鳥たちと歌を交わし、発心(ほっしん)、つまり出家をするというお話です。
前半と後半の鳥の描き方に注目してください。前半部分は、ワシに始まり、ウグイスやヤマドリ、ツルなど、20種もの鳥を細かい部分まで丁寧に描写しています。鳥たちはどこか愛らしく、色合いも豊かです。後半は、鳥を擬人化しています。出家の場面から、最後の踊りながら念仏を唱える踊念仏(おどりねんぶつ)の場面まで、人間の姿で描かれる鳥たちは、けなげでありつつどこかコミカルにも見えます。
さらに、絵巻の天地のサイズが通常の縦半分の大きさというのもこの作品の特徴です。
小さな画面の中で展開する、前半と後半の違いを楽しみながら、ご覧ください。