梅薮柑子金銀珊瑚歩揺簪
うめにやぶこうじきんぎんさんごびらかんざし
概要
銀製、二本足の平打簪に歩揺飾を付けた簪で一対(204と205)揃いで伝わる。平打部分は雪輪の内に表は金色絵で牡丹の毛彫、裏は秋草に蝶の毛彫をし、薮柑子と梅の飾りは銀と珊瑚玉を付け、短冊の歩揺飾りが下がる。歩揺簪は寛政年間に流行し、鎖の先に蝶や鳥・小鈴などを付けて、歩くたびに揺れ動いて音がするようにしたもので、主に上流階級で用いられて華美を極めた。文化・文政頃に江戸で廃れ、その後上方でも廃れて文久頃には全く絶えたとされるが、実際には近年まで作られ、使用されていた。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。