丹田古墳
たんだこふん
概要
S52-06-018[[丹田古墳]たんだこふん].txt: 徳島県を南北に二分する吉野川の南岸、[[三加茂]みかも]町の南方後背に見られる加茂山の高い尾根上に占地する古墳である。同志社大学による調査が行なわれ、その実際が明らかになった。墳丘は前方後円墳とも前方後方墳とも断定しがたい形態をとっている。西方からのびてきた尾根を前方部の西端から11メートル前で南北に切断し墳域を形成している。墳丘は岩盤上に結晶片岩の積石を加えて築かれた土を用いない完全な積石塚である。墳丘は全長約37メートル、西に向かった前方部は幅6.6メートル、くびれ部付近で幅約10メートル先端からくびれ部までの長さ18メートル、高さは前方部先端で約1メートルを測り先端を最も高くしている。後円(方)部は南北17.5メートル、東西17メートル、高さ3メートルを算え、徳島県下の積石塚としては徳島市八人塚古墳につぐ規模をもつものとして注目される。
後円(方)部中央に、墳丘の長軸と軸を合せた竪穴式石室がみられる。石室の小口は一部を損壊しているが、ほぼ全体をよく遺している。石室は四隅を直角にし、四辺を直線にした長方形の平面をもち結晶片岩を用い小口面でもって壁面を構成するものであり、全長4.51メートル、幅は東端で1.3メートル、西端で1.28メートル、高さ1.2メートル前後をはかる。側壁は床面から0.4メートルまで垂直に積み、以上は徐々に持ち送り天井部で合せた合掌状の天井をつくる。この形成は奈良県天神山古墳などにはみられるが、きわめて珍しい構造であり注目されるものである。
石室内部はすでに開口しており、副葬品としては顕著なものを見ないが、銅鏡1面の他、鉄剣、鉄斧など古墳時代前期に属する副葬品が採集されており、本古墳の造営時期を示している。
阿讃積石塚古墳中、きわめて特色ある古墳であり、この地域の古墳文化を考える上に重要な古墳と考えられる。