黒漆宝篋印塔嵌装舎利厨子 附法華経 くろうるしほうきょういんとうがんそうしゃりずし つけたりほけきょう

工芸 / 奈良県 

鎌倉時代 13世紀/嘉禄2 1226
木製 黒漆塗、舎利容器:銅製鍍金
総高25.7
1基、八帖
神光院(京都)旧蔵
重要文化財

 正面と背面に観音開きの扉をもうけた両開きの厨子。厨子内に奥壁を設け、一面には金銅板製の宝篋印塔形舎利容器を嵌装する。もう一面は慳貪式の板壁とし、表裏に絹本彩絵の如来坐像と胎蔵界種子曼荼羅の中台八葉院を貼付する。
 宝篋印塔形舎利容器は全階式で、屋蓋部に対して塔身部を大きく表し、塔身部の中央には内部に蓮台を作り水晶板を嵌めた円孔があり、納めた舎利を外側から礼拝できる構造となっている。やや反りをもたせた軒先には小さく隅飾をつくり、相輪部と宝鎖でつないでいる。基台部の下にさらに基壇が作られていることなどからも、宝篋印塔形ではあるが宝塔を意図した造形とみられる。
 他面の奥壁が慳貪式板壁の如来坐像は、定印を結んで掌上に輪宝を置くことから釈迦金輪像とみられる。板壁の裏面は胎蔵界種子曼荼羅中台八葉院であり、釈迦金輪と中尊胎蔵界大日如来を表裏の関係として表している。さらに本厨子は舎利と釈迦金輪・大日如来を表裏の関係とする構造と理解される。勧修寺を中心とする小野三流において舎利法と釈迦金輪は密接な関係にあり、本厨子は小野三流に関係する舎利厨子とみることができる。
 附の法華経は粘葉装の書写経で八巻とも伝わり、厨子内部に納められていたものである。巻第八に奥書があり、嘉禄2年(1226)に孝阿弥陀仏によって書写されたことが知られる。

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