白磁花形染麦彫文鉢
はくじはながたそめむぎちょうもんばち
概要
見込みに麦の文様を施した八輪花型の鉢。
天草産の陶石(とうせき)を原材料とし、轆轤で丸い鉢を成形した後、生乾きの時に口縁部を採寸して8等分し、指を用いて窪みを作り輪花形に変形させた。更に、窪みの内側に磁土を貼り付けてその先端を尖らせ、剣先(けんさき)で口縁部などを削って鋭角的な表情を加えたため、やわらかな雰囲気の中にもメリハリの効いた造形となった。麦の文様の部分には薄い呉須が施されており、爽やかな青色が白磁の白さを引き立てている。麦のモチーフは、厳しい環境に耐えて生きる生命の象徴である。
平成20年度文化庁工芸技術記録映画「白磁‐井上萬二のわざ‐」の対象作品である。