染付山水図大鉢〈伊万里/〉
そめつけさんすいずおおばち〈いまり〉
概要
染付山水図大鉢〈伊万里/〉
そめつけさんすいずおおばち〈いまり〉
奈良県
江戸
白磁胎を肉取り厚く轆轤挽き成形した大鉢で、ゆるやかな曲線をつけて立ちあがり、口縁を幅の広い鐔状につくって細かく輪花状に削り、口径に比較してかなり小さな高台を削り出す。畳付きを除いた全面に青みをおびた透明釉をかける。
文様は全て染付で表し、見込みには景物のおおい山水図を描く。図の中央に雲のかかる遠山を重ね、その手前に湖面を行く二艘の帆掛船を配し、近景には左右から迫る峻険とした湖岸の景を表す。近景左方の湖岸からは樹木が枝を張り出し、右岸の崖下には楼閣が描かれる。鐔状の縁には二輪ずつの菊花文を九つ散らし、地には点斑文を無造作にうって唐草状の細い線でつないでいる。口縁の内側には唐草文帯を、外側には二条の線をめぐらす。
高12.5 口径44.8 底径12.9 (㎝)
1口
奈良県奈良市学園南1-11-6
重文指定年月日:19890612
国宝指定年月日:
登録年月日:
近鉄グループホールディングス株式会社
国宝・重要文化財(美術品)
口縁を鐔状にとって、見込み広く、高台を小さく削り出した器形は、唐津焼の大鉢とも共通する初期伊万里の大鉢の通例を示し、その成形は総体に肉厚で重々しい。畳付きを除いた全面には初期伊万里特有の青味をおびた透明釉がかかるが、この作品では特に釉の磁化がすすみ、染付の発色も秀抜で濃藍色に呈発している。闊達な筆致で絵付けされ、溌剌とした気風に満ちている。
中国の古染付を写しながらも、草創期らしい、おおらかで雄渾な作行きをみせる染付白磁で、初期伊万里の染付大鉢の中でも代表的な作である。