紫紙金字金光明最勝王経巻第二
ししきんじこんこうみょうさいしょうおうきょうまきだいに
概要
天平の昔「全国に国分寺を建てよ。」との天皇の命により、次々と建設される大寺院。瓦屋根など見慣れていなかった当時の人々の目には、田んぼの真ん中に突然高層ビルが立ち上がるような出来事ではなかったろうか。その中に納められる目もあやな金字経。天平12年聖武天皇の勅を受け、全国の国分寺に納められる「紫紙金字金光明最勝王経」の書写が行われた。
この経巻は国家を護る経典として特に能書のものが選ばれたのであろう、金粉を膠に溶かした金泥で文字を書くのは墨書よりもむずかしいが、それと感じさせない穏やかで均整の取れた文字は、またしなやかな張りをもっており、隋・唐の書を消化した天平写経中の最高峰と言える。
当館所蔵のこの経典は、10巻の金光明最勝王経の第2巻にあたり、紫に染めた麻紙は歳月を経た柔らかい色調を呈している。金はやや赤みがかった温かい色で、盛り上がってはかすれる筆跡は今も燦然と輝いている。
所蔵館のウェブサイトで見る
MIHO MUSEUM