街角 まちかど

木版画 / 昭和以降 / 日本 

小野忠重 (1909-1990)
おのただしげ
1937
木版、紙
49.5×61.5
神奈川県立近代美術館

寂しい街角に両手をほほに当てたたずむ素足の少女。魚眼レンズのように風景が歪んでいます。抑えた色調が、煤けた東京の江東の工場地帯をますます重苦しいものにみせています。
小野忠重は、東京下町の本所に生まれ、昭和初めから貧しい人々の暮らしに共感のまなざしを注ぎ、仲間たちと「新版画集団」というグループを1932年に結成しました。はじめは版画の普及を目指しますが、やがて絵画を思わせる版を重ねた単品制作へと展開していきます。この作品はそのような傾向がはっきりとした時期のものです。暗い地色に色版が複雑に重ねられています。青春の版画運動も頂点を過ぎていました。日中戦争も大陸で本格化します。版画家は時代を不安げな少女に重ねています。ロバの影で休もうとして喧嘩をしているうちに肝心のロバが逃げてしまうというイソップ寓話に触れて「影を争って本体を失うな*」と自他を戒めながら。(*「影を争う」『造型版画協会小品集』造型版画協会、1937年)

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