神門神社本殿
みかどじんじゃほんでん
概要
神門神社は宮崎県中央部,九州山地の東麓に所在している。養老2年(718)の創建と伝えるが、古代から中世に至る沿革はほとんど不明である。現在の本殿は,棟札より寛文元年(1661)の建立と考えられ,施主は神門郷の海野土佐行正,大工は細島の高木庄吉清次であった。
本殿は自然石の礎石上に建つ七間社流造で,平面は身舎のうち桁行五間・梁間
二間を板敷の内陣とする。屋根は厚板葺目板打で,正面・背面とも段違いとする。
神門神社本殿は簡素で装飾の少ない流造本殿であるが,類例の少ない平面形式に特色がある。
本殿各部の形式や意匠は,一部に変更はあるが旧規が明らかである。中世的な技法や要素を残しながら近世の手法も備えたところに特徴があり,九州南部における本殿建築の発展を知る上で重要である。