与謝蕪村関係資料〈/寺村家伝来〉
概要
与謝蕪村(一七一六-一七八三)の俳諧の弟子であり経済的後援者でもあった寺村百池(一七四八-一八三五)の家に伝来した絵画類と書跡類である。大半は、百池筆の箱書等によって、百池が蕪村から与えられたことが明らかである。
このうち絵画類は、沈南蘋の画風の影響を受けた宝暦年間の「寒林野馬図」から最晩年の天明年間の作品に至るまで、蕪村の後半生の各時期にわたり、画題・技法についてみても、こまやかな感覚を見せる山水画からあくの強い人物画、軽妙な俳画に及ぶ、蕪村の画業を多角的に示すすぐれた作品群ということができる。また書跡類は、国文学研究上重要な句稿断簡、俳文の真跡、そして蕪村の人柄や生活を伝える多数の書状を含む。
このような蕪村の関係遺品がまとまって伝存している例は他になく、一括して保存すべき貴重な資料と考えられる。