大手鑑〈(八十葉)/有栖川宮伝来〉
おおてかがみ
概要
江戸初期禁裏周辺で作成された古筆、古文書貼交ぜの大手鑑で、表面に賢愚経巻第六断簡(大聖武)を筆頭として三十九種(四十一紙)、裏面には後小松天皇宸翰御消息以下三十一種(三十九紙)、表裏合わせて計七十種(八十紙)、奈良・平安時代から桃山時代に至る各通を収めている。
内容は和書、経典、文書、記録その他の断簡に大別されるが、とくに天暦十年宣耀殿女御嬰麦合巻頭(二十巻本)、和漢朗詠集巻下断簡(安宅切)、伏見天皇宸翰御歌集断簡(広沢切)等の和書断簡は書道史上の名品としても著名な遺品で、文書では後深草天皇御処分状写、後小松天皇宸翰御消息等は皇室御領の伝領に関する文書として重要である。また藤原為氏書状案、京極為兼書状、冷泉為相申状等は鎌倉時代歌壇の動向を伝えた根本史料として歴史、文学上に価値が高い。