若い騎士の肖像 わかいきしのしょうぞう

クルーエ、フランソワ (1522以前-1572)

フランス

1560年

油彩、板

27.0×13.0cm

1

耳飾りを付け、赤い羽根飾りの付いたベレット帽をかぶっている男性の肖像である。全体の色感としては、落ち着いた緑と赤の補色関係をよそに、格調高い黒が優位を占めている。形ばかりに生やした髭や少年っぽい口許は、顔の骨格の繊細さと相まって、宮廷的な気品とともに、ひ弱そうな印象をも与えている。クルーエは、フランス・ルネサンスの香気あふれる感性と卓抜な描写力で、憂愁に満ちた若い騎士の内面を見事に表現している。