日本聖公会奈良基督教会 会堂
にほんせいこうかいならきりすときょうかい かいどう
概要
日本聖公会奈良基督教会は,奈良市中心部、興福寺境内の西隣に位置している。奈良県内で古社寺修理の経験を持つ大木吉太郎の設計施工により,親愛幼稚園舎は昭和4年,会堂は同5年にそれぞれ竣工した。会堂は本格的な三廊式教会堂であるが,勾配の緩い伸びやかな屋根,小組格天井,菱格子欄間など和風要素で構成されている。親愛幼稚園舎もほぼ同様の意匠からなり,間仕切を外せば会館としても使用することができる。日本聖公会奈良基督教会は,奈良公園に隣接する立地条件から,純粋な和風意匠でつくられた教会堂建築である。古建築から着想を得た諸要素を巧妙にまとめ,各部のバランス,細部意匠とも秀逸で意匠的に優れている。古社寺修理から学んだ伝統的な要素を駆使し,教会堂として完成させた昭和初期の近代和風建築として,高い価値がある。