沢村納升の小野道風 片岡市蔵のとっこの駄六 さわむらのうしょうのおののみちかぜ かたおかいちぞうのとっこのだろく

木版画 

歌川国安 (1794-1832)
うたがわくにやす
日本
天保3年(1832)
木版多色刷(二枚続)
36.8×26.4cm、36.8×26.3cm
2

歌川国安は、国貞を別にして初世歌川豊国門下の三羽烏の一人にあげられる歌川派を代表する絵師の一人で、役者絵、美人画などに秀で、繊細な作風に定評がある。役者沢村納升(訥升とも)は、のちの5世沢村宗十郎のことで、江戸時代末期の名優として名をなし、容姿に優れるとともに芸風に品があり、武者のほか女形、舞踊劇などもよくした。片岡市蔵については、やはり幕末の花形役者8世片岡仁左衛門かと思われるが明らかでない。沢村訥升演じる小野道風は、平安時代(794-1185)の書家で、日本の書道史上三蹟と称される名書家。ある雨降りの日、柳に飛びつく蛙が失敗に屈せず目的を達成する様子を見て、自らも精進して大成したとの俗説が広く知られ、ここでも柳に飛びつく蛙が描き添えられている。訥升の道風が蛇の目傘をさし、歯の高い下駄を履き、公家装束を身にまとった上品な姿に描かれるのに対し、市蔵の駄六の方は色違いの蛇の目傘をさし、大柄の格子縞の衣裳をつけて肩をいからせ、顔の隈取りも厳めしく筋骨たくましい男性像に描かれているのが対照的である。白く線状にあらわした雨の表現も木版画の技法として面白いが、全体に描写は丁寧で国安らしい繊細な作風を示している。同じ役者絵でも豊国、国貞とはまたひと味違った様式美を見せている。

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