女性用被衣(チルピ)
じょせいようかずき(ちるぴ)
概要
トルクメン人の多くは遊牧民で、住居として組立式の天幕(ユルト)を持ち、草原を騎馬で移動しました。テケ族、ヨムート族、エルサリ族などの部族に分かれていて、刺繍や装身具などにもそれぞれ異なった特徴が見られます。
かつてトルクメン女性は華やかな刺繍を施した衣装と銀製の装身具を身につけていました。ズボンとワンピースを着て、頭にはスカーフや被衣を被ります。チルピの背中に垂れた袖は腕の通らない見せかけのものです。紺色のチルピは新婚女性が、黄色は男児のある中年女性が、白色は60歳以上の女性が着るとされます。
このチルピは、黄色の平織絹布に、赤、臙脂、緑、橙、茶そして白の絹糸で刺繍し、木綿の裏地を合わせて、裾にフリンジ付きのテープを縫いつけます。主な文様はチューリップと菊(芥子?)で、背中に垂れた袖や襟には幾何学文等が配され、ダブルチェーンステッチで表されています。縁取りには、織りながら縫いつける伝統的な技法ジュドゥルが用いられています。
所蔵館のウェブサイトで見る
広島県立美術館