旧西尾氏庭園
きゅうにしおしていえん
概要
明治から大正時代に造営・改修された大阪近郊の資産家の住宅庭園。一辺約60mの敷地の北半部に主屋・茶室と庭園,南半部に離れと庭園が存在する。19世紀末期建造の主屋の南・西の庭園は,茶室「積(せき)翠(すい)庵(あん)」の露地庭として完成した。積翠庵は第10代藪内休々(やぶのうちきゅうきゅう)斎(さい)竹(ちく)翠(すい)及び節(せつ)庵(あん)と西尾氏第11代與(よ)右(え)衛門(もん)の設計監修の下に茶室燕(えん)庵(なん)を写して建築されたもので,露地庭は山中の侘び住まいに準(なぞら)えた多重露地の形式を持つ。大正末年に完成した敷地南半部の離れは武田五一の設計で,飛石を中心とする露地,撞球場の西側に幾何学的な意匠の園路,温室跡などが存在する。近代の茶庭に関する造園文化の発展に寄与した意義深い事例である。