婦人の愛
概要
123 飯田操朗(1908−1936) 婦人の愛 1935年
兵庫県生まれ。本名操。1930年上京、太平洋美術学校などで学ぶ。31年第1回独立展入選、同会会員の福沢一郎に師事。33年第3回独立展で海南賞、35年第5回独立展で独立賞受賞。同年グループ「飾画」に参加。36年独立美術協会会友となるが、同年病没した。
《婦人の愛》は、対象の形態が抽象的に単純化されると同時に鮮やかな色彩が多用され、造形的側面への画家の関心を強くうかがわせるが、その一方で、題名にも示されているような、ロマンティックな意味あいが画面に隠されているようでもある。実はこの作品は、第5回独立展に同時に出品された《朝》(兵庫県立美術館蔵)と対をなしており、後者では朝、鶏、男性の象徴が表されているのに対し、この《婦人の愛》では、夜、果実、女性の象徴が表されている。シュルレアリスムに関心をもち、絵画における造形性と象徴性との統合を模索した飯田の代表作である。