朝日 青木繁筆
あさひ あおきしげるひつ
作品概要
本作は、昭和30年代と1978年の2回、修復を受けている。1回目の修復(旧修復)は、「浅尾払雲堂」(東京・上野)でなされ、2回目の修復(新修復)は、「創形美術学校 修復研究室(現修復研究所21)」(東京・国立市)による。旧修復では合成樹脂接着剤によるカンヴァスの裏打ちが施されていたが、接着剤が硬化していたため、新修復ではそれを除去し、代わりに蜜蝋を用いる「オランダ法」による新たな裏打ちが施された。また、旧修復で画面に施された補彩(絵具が欠損した箇所に充填剤を詰め、上から色を補う)が黄変していたため、新修復では画面表面の汚れを洗浄しつつ黄変箇所を除去し、新たに補彩している。これらの修復により、作品は往時の色彩を取り戻し、基底材(カンヴァス)の耐久性も向上した。ただし、画中太陽の部分に発生している亀裂は、当時の技術では完全に塞ぐことができなかった模様である。(ただし、修復師による近年の所見によれば、現在も絵具自体は強固に固着しているため、剥落の危険はないとのこと)新修復を担当した「創形美術学校 修復研究室」の所見によれば、本作は「全体として絵具の固着力は大変良好であり、青木繁が晩年になっても油彩画の技術が確かであったことをしめすものである」という。