木と降る光
きとふるひかり
概要
柳瀬正夢(愛媛県松山市出身)は、少年期に過ごした門司で活発な美術事情に触れ、その後東京に活動の拠点を移した。20代では大正期新興美術運動やプロレタリア美術運動の旗手として目覚ましい活躍を見せ、洋画だけでなく、グラフィックデザイン、諷刺漫画、舞台美術など、大正から昭和初期にかけての前衛美術の分野における多彩な活動が、高く評価されている。一時、社会主義運動にも関わったために弾圧を受けるなど、波乱に満ちた生涯の中で、個性みなぎる力強い作風を展開し続けた柳瀬だったが、昭和20年(1945)5月、新宿駅で空襲に遭い、45歳でこの世を去った。
本作品は、再興第2回院展で入選して画壇デビューを飾った15歳の時の作品。ゴッホやセザンヌの影響を受けた大胆な点描は、多感な少年らしいみずみずしさに満ちている。