石山切(伊勢集)
いしやまぎれ(いせしゅう)
概要
天永三年(一一一二)三月に白河法皇(一〇五三-一一二九)の六十賀に際して製作されたと推定されている。『西本願寺本三十六人家集』は、当時の能書二十名の寄合書きで、書の優美さ、工芸技術の粋を尽した料紙の華麗さなど、王朝貴族趣味をあますところなく伝えてくれる作品として知られている。「石山切」は、この『三十六人家集』のうちの「伊勢集」ならびに「貫之集下」の断簡をいい、昭和四年(一九二九)に分割されるに際し、本願寺がもとあった摂津の石山(現在の大阪城付近)にちなんで名付けられた。本品は「伊勢集」の巻頭三頁分にあたる断簡で、長い詞書のあと歌二首が書かれている。岡谷家寄贈。
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