ゼルマニヤ廓中之図 ぜるまにやかくちゅうのず

銅版画 / 江戸 

亜欧堂田善 (1748-1822)
あおうどうでんぜん
江戸時代、文化6年/1809年
銅版筆彩
30.1×56.1
1面
落款「文化六年巳己正月 亜歐堂 田善」

来歴:池長孟→1951市立神戸美術館→1965市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館

参考文献:

1枚の銅版で摺られた江戸時代の観賞用銅版画としては最大級の作品です。田善の大型銅版作品としては、フランスのフォンテーヌブロウ宮を描く銅版画を手本とする、本図とほぼ同寸法の「西洋公園図」(東京国立博物館蔵)があります。前景部分の図様のルーツは、18世紀イタリアの銅版画家ピラネージが描いた空想的な古代ローマ風景図に求められますが、実際に田善が参考にしたのはその模造品でした。本図の後方には、新しい時代のフランス風の宮殿建築(パリのルーヴル宮?)が描かれていて、なんらかのフランス製の銅版画を摸したとも考えられます。

表題の「ゼルマニヤ」は、当時の蘭学者の間ではドイツ・オーストリア一帯を示す地名として使われていましたが、ここを西洋文明発祥の地とする説もありました。 この「ゼルマニヤ廓中図」とほぼ同じ法量の「大日本金龍山之図」が「大日本」の名を冠しているのは、あたかも本図と相対するかのようです。「西洋公園図」をふくめた3点をシリーズ物として仮定するなら、その制作の主眼は西洋と日本の都市風景、広大な公共空間の対比にあったと考えられます。

【江戸の絵画】

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