鏡形飾板
かがみがたかざりいた
概要
鏡を思わせる、ゆるやかにくぼんだ楕円形の円盤に、小さな柄(え)がついています。楕円版の根本や柄は、瞳を思わせる円形の文様と、櫛の歯(くしのは)状の文様で装飾しています。こうした文様は、中国西南部の雲南地方でよくみられ、実際にこの作品よく似た飾り板が出土しています。ところが、実はこうした飾り板と同様の形、つまり円盤や楕円盤に小さな柄がついた飾り板は、中国北部の内モンゴルをはじめ、中央アジアでも出土しています。
柄の先端部分をご覧ください。ここには、横向きに一頭の動物があらわされています。大きく湾曲したツノから、羊であると考えられますが、こうした動物表現もまた中国北方(ほっぽう)の青銅器と共通する特徴です。このように、この作品には、とても離れた地域の要素が混在していることがわかります。ただこれは何も不思議なことではありません。近年の研究では、中国の西南部と北方とをつなぐ、様々な物証(ぶっしょう)がみつかっています。当時の人や物の動きは、私たちが想像する以上に広範囲に及び、たがいに影響し合っていたようです。