円卓
概要
187 グリス、ホアン(1887−1927) 円卓 1921年
マドリード生まれ。同地の美術工芸学校で学んだ後、1906年パリに移住、一時期同郷のパブロ・ピカソと同じアパートに住まった。挿絵画家として生計を立てながら、10年頃よりキュビスムの影響下に絵画に専心し、12年にはアンデパンダン展、セクション・ドール(黄金分割)展に出品。第一次大戦中はパリと疎開先を行き来しながら、また戦後は肋膜炎などの病苦と闘いながら、キュビスム的造形の展開に努めた。
グリスはピカソ、ジョルジュ・ブラックとともにキュビスムを分析的段階から総合的段階へと導いたことで知られる。この《円卓》では黒、白、褐色を基調色に、酒瓶、グラス、果物鉢、パイプといったキュビスムにおなじみの事物が円卓上に並ぶ。パピエ・コレ(紙の貼付け)を思わせる手法で描かれた新聞、テーブルクロス、円卓などを表す諸平面を交錯・重層化させることによって、事物と空間とを一元的に再現しようとした「総合的キュビスム」の典型と言える作品である。