蛾の踊り がのおどり

絵画  水彩 

パウル クレー (1879-1940年)
くれーぱうる
1923年
紙,オイル・トランスファー・ドローイング 鉛筆 水彩
51.5 x 32.5cm

スイス、ベルンの近郊ミュンヘンブーフゼーに生まれる。ミュンヘンの美術学校に学び、イタリア旅行とスイスへの帰郷ののち、再びミュンヘンに移住。1911年以降、カンディンスキーを代表とする「青騎士」の画家たちと交友する。1914年、アウグスト・マッケらとともにチュニジアに旅行し、北アフリカ独特の色彩に目覚める。これ以後、色彩がクレーの重要な造形主題となる。第一次世界大戦にドイツ兵として従軍した後、戦後まもなくの1921年に総合的な造形芸術のための学校バウハウスのためにグロピウスにマイスターとして招かれ、のちにデュッセルドルフ美術学校 の教壇にもたった。1931年、ナチスの台頭に伴い辞職を余儀なくされ、1933年にはベルンに隠棲。晩年の大病を克服し、生涯を通じて9000点を超える作品を残した。ロカルノ近郊ムラルトで没。音楽や詩文学にも造詣が深く、音楽言語の造形的展開や歌劇の主題化、文学性の高いタイトルが、彼の造形世界に詩情的な豊かさを与えている。 「地」にあたる部分がフリーハンドの格子状になっていて、外側から上下の二つの中央に向けて紺色から黄色へと色彩が段階的に変化している。そこに、反りかえった胸を矢で撃たれながらも、どこか恍惚したような蛾の擬人化された姿が「油彩転写素描」技法で「図」として描かれている。クレーが生み出したこの技法は、油絵具を塗った転写用の紙を裏返して、裏側から、原画となる素描の描線を尖筆で強く押しながらなぞり、手の圧力のかけぐあいによって転写される描線に効果を与えるというものである。線描は軽やかな感覚と静止感を与え、線描の周囲の表現はぶれを感じさせ、空気の揺れや時間のずれを感じさせている。蛾の上昇感とバランスをとるかのように線は下向きの矢印へと変化し、たわんだ格子の表現でリズムに変化を与えている。こうしてクレーは、一見詩情的に見える一枚の絵に、運動と静止に関わる抽象的な思考を共存させている。(H.M.)

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