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絵葉書「高岡山瑞龍寺全景」

えはがき「こうこうざんずいりゅうじぜんけい」

概要

絵葉書「高岡山瑞龍寺全景」

えはがき「こうこうざんずいりゅうじぜんけい」

その他 / 昭和以降 / 富山県

富山県高岡市

昭和8~19年頃/1933~44年頃

紙・モノクロ印刷

縦9.0cm×横14.0cm

1葉

富山県高岡市古城1-5

資料番号 1-05-216

高岡市蔵(高岡市立博物館保管)

瑞龍寺の写真絵葉書である。手前に大きく畑が広がっている。
記載事項は表面(通信面)に右読みで「郵便はがき」、「CARTE POSTALE」(仏語:葉書)、「UNION POSTALE UNIVERSELLE」(仏語:万国郵便連合)。そして通信文記載が3分の1から2分の1(1/2線)に拡大(大正7~昭和7年)されているが、上部の「きかは便郵」が「きがは便郵」になっているので、表示変更された昭和8~19年のものと推測される。
未使用。

【瑞龍寺】
高岡市関本町にある曹洞宗寺院。山号は高岡山(こうこうざん)。本尊は釈迦三尊。開山は広山恕陽(こうざんじょよう)。1613年(慶長18)加賀藩2代藩主前田利長が高岡で建立した法円寺が前身である。恕陽は越前府中(福井県武生市/現越前市:当館注)宝円寺の象山徐芸(ぞうざんじょげい/げい→うん:当館訂正)の嗣法で,龍泉寺に住した縁故で初代藩主利家に知られ門前総持寺に出世,01年加賀の金沢法円寺に入る。その後,05年藩を義弟の利常に譲って隠居した利長と共に富山へ従い,大家のため13年には高岡へ移り法円寺を開いた。14年6月27日(旧暦5月20日)に没した利長の菩提を弔うため,利常は45年(正保2)同寺を起工。翌年利長の33回忌法要会を盛大に行い,法円寺を利長の法号瑞龍院にちなんで改称した。造営には加賀藩の御大工頭山上善右衛門嘉広があたり,利常が亡くなった翌年の56年(明暦2)には大部分ができる。だが,仏殿は59年(万治2)に仕上がり,利長の50回忌にあたる63年(寛文3)にやっと伽藍が完成する大事業だった。寺域も3万6000坪(約11万8800平方メートル)と広く,当時は周囲に二重の濠(ほり)をめぐらし,城郭の姿を呈したという。
瑞龍寺は左右対称の明快な伽藍配置に特徴がある。山門・仏殿・法堂(はっとう)・禅堂・大庫裡(おおぐり)(台所)・浴室・七間浄頭(便所)で構成される七堂伽藍は,「五山十刺の図」(石川県立美術館蔵)にある中国・杭州の万寿寺を参考にしたと伝えられる。〈伽藍瑞龍〉とも呼ばれ,鎌倉時代に中国から日本に伝えられた典型的な禅宗建築の姿を伝える。仏殿の屋根は鉛瓦で葺かれ,鉛の総重量は47t。弾丸に換算すると250万発に相当し,幕府との有事に備えていたことが窺える。1746年12月31日(延享3年11月20日)に浴室から出火し,山門や禅堂・大庫裡などを焼失。鐘楼の釣鐘は67年(明和4)に改鋳されたが,山門は罹災から約40年後の1818年(文政1)に高岡商人らの熱意で再建され,24代善右衛門吉順(よしのり/のり→より:当館訂正)が復元にあたる。明治維新後,前田家の支援が途絶えると寺の維持費を捻出するため境内林も伐採するほどだった。だが,仏殿・法堂・総門は国の特別保護建造物(のちの国宝)に指定され,「国宝保存法」によって1935年(昭和10)に総額約8万3000円をかけて3年間にわたる大改修が行われる。
1985年からは総工費22億4000万円の巨費を投じて,奈良東大寺(三十数億円)に次ぐ規模といわれる大改修が始まる。当初計画では回廊3棟・烏蒭沙摩(うすさま)明王堂・高廊下・山門だけを対象としていたが,翌年11月に解体中の烏蒭沙摩明王堂の屋根から元禅堂の建築部材が数多く見つかり禅堂の建築様式が判明,左右対をなす大庫裡の再現も可能になる。さらに,1875年(明治8)ごろ廃仏毀釈によって砺波市の芹谷千光寺へ売られた大庫裡の向拝(入り口)が返却され,伽藍全体の復元へ弾みがつく。加えて法堂に隣接していた大茶室の床材や柱などが他の部位に転用され現存することが分かり,全国に2例しかない貴重な建物と判明。この復元も決まって総工費は当初予算の3倍に膨れ上がり,大改修は1995年(平成7)に完成する。97年に仏殿・法堂・山門が県内唯一の国宝に指定された。毎年6月1日には,約300年前に行脚に出る修行僧が安全祈願に始めたという〈ひとつやいと〉が行われ,法堂高廊下で信者らがひざに灸をしてもらい無病息災を願う。また,84年からは利長の命日にあたる5月20日に法堂で〈燭光能〉が奉納されている。〈四津谷道昭〉
※『富山大百科事典』(電子版)平成26年7月1日アクセス

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キーワード

禅堂 / 瑞龍寺 / 回廊 / 伽藍

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