二代目嵐璃寛の古手屋八郎兵衛、二代目沢村国太郎の女房おつま
にだいめあらしりかんのふるてやはちろべえ、にだいめさわむらくにたろうのにょうぼうおつま
概要
元禄15年(1702)7月に起こった、古手屋八郎兵衛による丹波屋娘つまの殺害事件は直後に歌舞伎芝居三座で競演され、その後もしばしば上演されていった。愛する八郎兵衛のためお妻が偽りの愛想づかしをする場面は、寛政10年(1798)7月、大坂角の芝居で上演された「文月恨切子(ふみづきうらみのきりこ)」からの演出である。本作は漆黒の闇の中、愛想づかしを誠と思い込んだ八郎兵衛が手に包丁を握りしめてお妻の髪を引っ張る、逼迫した殺しの場面を描く。