唐三彩貼花獅子文鍑
とうさんさいちょうかししもんふく
概要
寸胴な器身の丸底に虎の足に似た形の三足を均等に配する。胴部には獅子文と、パルメットの一種と思しき植物文を交互に型押し(貼花)で飾る。外面底部を除いた表面全体に透明釉をかけ、その上に緑、褐色ないし黄色、藍の釉薬を施す。7世紀後半から8世紀前半の盛唐期には、貴族層のあいだに厚葬が流行する。それにともない、副葬用の華やかな明器として唐三彩の需要が高まり、銅と鉄を呈色剤とした緑釉、褐釉(ないし黄釉)のほかに藍釉まで加わった本格的な唐三彩が大量に作られた。大量生産の需要に応えるため、文様は貼花によって施され、工程が合理化された。鍑は、万年壺、龍耳瓶などとともに盛唐の唐三彩を代表する器種のひとつである。本作の胴部に飾られた獅子文や植物文は、当時の中国では新しかった藍釉とともに、西域からの影響を色濃く反映している。