はまおもと
はまおもと(はまゆう)
概要
はまおもとはヒガンバナ科の常緑多年草で、関東以西の海岸砂浜に群生している。横須賀市佐島にみられるはまおもとの群落は分布北限域の一つである。
はまおもとは何枚もの葉鞘が垂なりあって直立し、四方に葉をのばした姿がオモトに似ていることからはまおもとと呼ばれる。茎状にみえる部分は偽茎で葉の一部である。偽茎の内部は白色である。花は夏、葉の間から70cmほどの花茎をのばし、10数個の白色花をつける。香りがきわめて上品である。
はまおもとは、特定の種群と組み合わさって植物群落を形成することよりも、むしろ分布に特異性があることで知られている。はまおもとの自生分布が年平均気温14℃の等温線とほぼ一致し、日本海側の山口県北部から伊勢湾・東海道を経て銚子にいたる線はハマオモト線と呼ばれている。ハマオモト線(本州南岸線)の設定は、はまおもとにかぎらず、多くの暖帯要素の北限線となっている。ほぼこの線を境にして、南側にはコモチシダ、タマシダ、キミズ、ハマクワガタ、カンコノキ、ヤマモガシ、カンザブロウノキ、トキワガキ、ヤマビワ、コバンモチなどが分布している。