天神島、笠島及び周辺水域
てんじんじま、かさじまおよびしゅうへんすいいき
概要
天神島は周囲1kmほどの小島だが、景観に優れ、また動物、植物、地質などの貴重な資料を温存している。周辺部の多くは関東大地震の際に隆起した海蝕棚(岩礁地)から成り、海鳥の群れ飛ぶ姿は実に見事である。
古い岩礁上の凹部には、わずかながら風化土壌が堆積し、潮の影響を強く受けた典型的な海岸植生が見られ、海水につかる所ではハママツナ群落、満潮線上にはホソバノハマアカザ群落、満潮線に近い所ではシオクグ―トウオオバコ群落などが発達する。潮間帯には、ムラサキウニやウミウシ類、ホヤ類などの海産動物が豊富に生息する。
天神島の中央辺から南寄りにはタブノキが優占した常緑広葉樹林を形成し、植物社会学的にはイノデ―タブ群集の乾生形に区分されている。タブ林の縁辺ではクロマツ林が広がり、その中にトベラ、マサキ、オオバツルグミなどが生育する。このマサキ―トベラ群集の林床には、はまおもと(ハマユウ)が群生し、県の天然記念物に指定されている。マサキ―トベラ群集に接した砂地には、ハマボウの群落、ハマヒルガオ群落、ハマゼリ群落、チガヤ―ハマゴウ群集などがモザイク状に発達している。