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須賀利大池及び小池

すがりおおいけおよびこいけ

概要

須賀利大池及び小池

すがりおおいけおよびこいけ

地質鉱物 / 近畿 / 三重県

三重県

三重県尾鷲市

指定年月日:20120124
管理団体名:尾鷲市(平25・3・15)

国土交通省、尾鷲市、須賀利区、個人

史跡名勝天然記念物

 須賀利大池及び小池は,三重県尾鷲市須賀利町の熊野灘(くまのなだ)に面した半島部にある海跡湖(かいせきこ)である。
 須賀利大池は,面積約5.8haの細長い形をした池である。この池は,今から7~1万年前の最終氷期に海面が下がっていく過程で形成された谷が,その後の海面上昇の過程で,砂礫(されき)によって次第に閉ざされていったものと考えられている。西側と東側の開口部や東南端に僅かに外洋に開いた部分があるが,通常海水の浸入はなく,湖底には,過去の大津波による堆積物が確認されている。
 須賀利小池は,須賀利大池の西側に位置する,面積約0.23haの小さな海跡湖であり,大池と同時期に形成されたと考えられている。
 須賀利大池及び小池には,多くの維管束(いかんそく)植物が確認されている。大池湖畔には日本最大級のハマナツメの群落が発達するほか,極めて稀少なアズマツメクサをはじめ,暖地性常緑広葉樹類のバクチノキが散在する。外洋に面した断崖や礫浜(れきはま)には,アゼトウナやキノクニシオギクなどの貴重な草本類(そうほんるい)が生育する。テツホシダ,ツクシナルコなどの希少種やハマホラシノブなど植物分布地理上,貴重な植物が生育する。小池は小さな海跡湖であるが,豊かな水草相を有している。
 須賀利大池及び小池は,全国で人工的に改変された海跡湖が多い中で,集水域から海岸線そして湖底の津波堆積物までが良好に保存されている極めて貴重な例である。また,須賀利大池は,全国有数規模のハマナツメ群落もみられる重要な地域となっている。

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