紙織八馬図
ししょくはちばず
概要
木々の茂る岩場の水辺に、8頭の馬とそれを眺める樹下の高士、馬を世話する人物を描く。本図は絵を描いた料紙を縦糸に、無地の料紙を横糸にして織り込む紙織画の技法を用いる。本紙墨書には「癸丑秋八月」「五白姜涛画」とあり、その制作年代は絵画の様式からみて朝鮮時代・正祖17年(乾隆58年、1793)に相当する可能性がある。作者は朝鮮時代の文献に該当する画家が見当たらないため、後考にまちたい。このような紙織画は現在10件を超える作例が確認されている。そのなかでも、料紙を横幅1cmあたり約8つに裁断して織り込む本図は、最も細やかな枡目をもつ作品の1つである。