木の間よりの風景

絵画  油彩画 / 大正 / 日本 

萬鐵五郎 (1885-1927)
よろずてつごろう
1918(大正7)年
油彩・キャンバス
54.3×45.5
額装

 立木の向こうに見下ろすように家並が広がるこの風景は、萬の故郷土沢を描いたと考えられる。何処にでもありそうな草深い農村の一風景が、ここえは現実離れした幻想性を帯びている。どこまでも暗く沈み込み、かつ不思議な燐光を放っている画面。樹木を初め、全体は水底の光景のように曖昧で、そのなかに唯一くっきりと浮かび出た家並はかえって幻のようである。
 萬が一時土沢に帰郷したのは1914、5年。こうした木の間風景を他にも数点描いたのは18年頃である。恐らくその間に、彼の内部で現実の土沢の風景は次第に変容していったにちがいない。それぞれ全く独自の性格を示し、現実とは異なる絵画独自の秩序の探求という姿勢を強く感じさせる他の作品と比べると、この作品はまだ現実の農村を彷彿とさせる。ちょうど現実の風景が彼の内部で変容を始める入口に位置しているのかもしれない。
 しかし恐らくこの風景の特異性はそれだけではない。我々と木立に隔てられた家並との間には近付きがたい距離が感じられないだろうか。それが画面の暗さと相まって醸し出す暗澹たる気分こそが、この風景を特異なものにしている。(土田真紀)

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