富貴寺大堂
ふきじおおどう
概要
富貴寺大堂 一棟
富貴寺は寺伝によれば仁聞の開基になり、養老二年(七一八)の建立というが、現本堂は平安時代後期の手法を示している。桁行三間、梁間四間の堂で、現状は宝形造となっているが、文和二年(一三五三)の墨書を有する旧棟木が残っているから、古くは寄棟造であったこともあるようである。堂は大面取の方柱に舟肘木をのせた簡素な形態をしている。内部は板敷で、四本の円柱の四天柱を立て、仏壇を置き、天井を小組格天井とし、各部には仏菩薩、宝相華、唐草などを極彩色で描き、また来迎壁には浄土曼荼羅を描くなど、装飾に富んでいる。平安時代に盛行した阿弥陀堂建築の全国的分布を示す好例であるとともに、九州地方における最古の遺構である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)