愛染明王香合仏
あいぜんみょうおうこうごうぶつ
概要
香合仏は蓋と身からなる小さな仏龕で、香合のような外見を有するためこのように呼ばれる。本品は白檀と推定される木材から彫出され、身に愛染明王坐像を浮彫している。愛染像は通常見られる六臂像であるが、台座が宝瓶座でないこと、左第三手に日輪を有している点が通形とは異なる。唇や髪など部分的に彩色が見られるほか、随所に截金が見られる。蓋裏は中心に金箔を押した愛染種子を表し、地に石畳文を截金で飾っている。製作年代は平安時代後期に推定され、愛染明王香合仏の初期作例として貴重である。