惣作遺跡出土木簡
そうさくいせきしゅつどもっかん
概要
惣作遺跡は木戸町に所在し、市域東部の鹿乗川とその左岸の沖積地に展開する。現在の鹿乗川流路は碧海台地東縁崖下の南北を直線的に流れるが、古代以前は大きく蛇行していたことが判明しており、遺跡は旧流路とその周囲の自然堤防上に立地する集落遺構で構成される。木簡1、木簡2とも同一の自然流路の堆積層から出土している。
①は判読不能だが、片面に6~7文字書かれていると推定される。②は折り切られた状態出土し、等間隔に直径0.4cm の孔が貫通している。両面に文字が書かれており、いわゆる習書木簡である。「呉部足国」は人名で、「呉部」という氏族は渡来系氏族と考えられている。「呉部足国」は三河地域の古代氏族と考えて差し支えなく、人名が解読できる木簡としては県内初例である。古代木簡の出土は愛知県内においても極めて少なく、三河においては市内下懸遺跡出土木簡1点に次ぐ2例目となる。