蔵王権現立像
ざおうごんげんりゅうぞう
概要
眼を見ひらき、髪を逆立てて忿怒(ふんぬ)の相を表し、左足は岩を踏み、右足は大きく跳ね上げる姿。修験道(しゅげんどう)の祖とされる役行者(えんのぎょうじゃ)が大峯山において感得したという蔵王権現(ざおうごんげん)が、盤石(ばんじゃく)の巌(いわお)の中から出現した様を表すもの。その作例は平安時代前期から現れるが、隆盛期は平安時代後期であり、本像もいかにも王朝風の整斉美を感じさせる造形である。蔵王権現像には木彫(もくちょう)もあるが、山岳寺院の過酷な安置条件を考慮してか、銅造のものが多く、まれに鉄製の作品もある。
なら仏像館 名品図録. 奈良国立博物館, 2010, p122, no.164.