瓦硯(陶硯)
概要
硯は筆記等のために墨を擦(す)り、溜まった墨汁を筆につけるための道具です。陶製で、墨を擦る面には青海波(せいがいは)のような文様(もんよう)が表されていたとみられますが、使用痕が著(いちじる)しく、かなり摩滅が進んでいます。面が内側に向けて湾曲し、猿の顔に似ていることから猿面硯(えんめんけん)と呼ばれる形式で、本品のように木枠などに嵌(は)めて用いられました。
本品は、墨台(ぼくだい)(N-80)、水滴(すいてき)(N-81)、匙(さじ)(N-82)とともに聖徳太子が斑鳩宮(いかるがのみや)で使用したとの伝承を伴っています。