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臨王羲之書軸

りんおうぎししょじく

概要

臨王羲之書軸

りんおうぎししょじく

/ / 中国

傅山筆

制作地:中国

清時代・17世紀

絖本墨書

154.0×47.6

1幅

 この掛け軸は、明時代の末から清時代の初め、17世紀に活躍した傅山(ふざん)の書です。傅山は現在の山西省太原市(さんせいしょうたいげんし)の北東に位置する陽曲(ようきょく)の出身で、学者の家系に生まれて、儒学や歴史学、道教や仏教、医術などあらゆる学問に精通し、書画にも優れました。もとは太原の三立書院(さんりつしょいん)という学校で教鞭(きょうべん)をとっていましたが、明王朝が滅亡すると出家して道士(どうし)となり、各地を放浪して、異民族が支配する清王朝に対して抵抗の意思を示しました。
 ここに書かれるのは、東晋時代4世紀に活躍した書家、王羲之(おうぎし)が記した「知欲東帖(ちよくとうじょう)」という手紙です。名筆(めいひつ)とされる優れた書跡を拓本(たくほん)にして、冊子の形式に仕立てたものを「法帖(ほうじょう)」といいます。傅山は『淳化閣帖(じゅんかかくじょう)』という法帖に収められた王羲之の手紙を臨書(りんしょ)、つまり直接の手本にして、模写したものと思われます。若いころ伝統的な書を学び、流れるような美しい書体を得意とした傅山ですが、後に、技法的な巧さや外見上のあでやかさを追求する書に疑問をもち、のびのびと自由に筆を運ぶことこそ大事であると確信するようになりました。自分の子供には、書というものは「下手であることよりも、技法が勝ってはいけない。見てくれが悪いことよりも、媚(こ)びるような美しさがあってはいけない」と教えました。手本とした王羲之の書から構成を変えて、大胆な筆使いで臨書したこの作品にも、傅山の信条が表れているでしょう。

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キーワード

/ Qing / 臨書 / Wang

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