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摺箔 淡浅葱地鱗模様

すりはく うすあさぎじうろこもよう

概要

摺箔 淡浅葱地鱗模様

すりはく うすあさぎじうろこもよう

染織 / 江戸

江戸時代・18世紀

1領

 これは、摺箔(すりはく)と呼ばれる能装束のひとつです。摺箔とは表着(うわぎ)の下に着込む下着のことで、もともとは装飾技法の名前でした。型紙を用いて布の上に模様の形に糊(のり)を置き、その上に金箔を乗せて接着する技法です。室町時代から安土桃山時代にかけては上流階級の人々の衣装にも用いられてきましたが、江戸時代になると流行がすたれ、能装束にのみ伝統として残りました。
 淡(うす)い浅葱色(あさぎいろ)の地に、金箔で連なった三角形の模様があらわされています。この模様は龍のうろこをモチーフにしており、蛇の身体(しんたい)をイメージしています。鬼や鬼女などの異形の生き物や役柄が着る装束に使われる模様です。この摺箔は、例えば「紅葉狩(もみじがり)」や「道成寺(どうじょうじ)」などの演目に登場する鬼女が身に着けます。演目の前半では摺箔の上に若い女性役の上着である唐織(からおり)を着ることで美しい貴族の女性のふりをしていますが、後半では唐織を脱ぎ、摺箔だけになることで正体をあらわします。この摺箔を着ていることが物語の伏線になっているのです。このように能装束のデザインや模様は、役柄と密接につながっています。

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