頭飾
あたまかざり
概要
頭飾
あたまかざり
制作地:イエメン
19~20世紀
銀 銅 鋳造 鍛造
最大幅42.3 最大高25.1
1個
アラビア半島の南西端、紅海とアデン海に囲まれたイエメンでは、古くから銀製の装身具が盛んに制作されてきた。特に18世紀から20世紀前半にかけては、当地に居住していたユダヤ系の銀細工師によって銀細工の制作を独占した。彼らは、銀もしくはスターリング・シルバーのような銀と銅の合金を素材に様々な装身具を制作していた。本品もそうした当地の銀細工の伝統に連なる作品である。イエメンを含む紅海沿岸地域や東アフリカ一帯では、オスマン・トルコをはじめとする東方との貿易を目的にオーストリアで発行された銀貨(レヴァント・ターレル、通称マリア・テレジア銀貨)が200年もの長きにわたり広域地域の決済通貨として機能していたことで知られるが、一部は銀細工の素材としても用いられていた。特に、銀の産出が殆どないイエメンにあって、貨幣そのものをインゴットとして扱い、本品のような銀細工製品の生産が行われたことは、金属工芸の多様性を知る上で興味深い事例になると言えよう。