刀銘源正雄
かたなめいみなもとまさお
概要
・函館開港に伴い設置された箱館奉行は、外国船の取締まりや北辺防備を行う一方で、蝦夷地経営のための産業振興にも力を注ぐことになり、銭座、瀬戸座、織座などの運営を試みました。
・この中で、函館周辺から産出される砂鉄を使用した製鉄も試みられ、その一つとして、箱館奉行堀織部正が江戸の刀工である源正雄を招へいし、刀作りが行われたと伝えられます。
・源正雄は、幕末期最高の刀匠源清麿の高弟で、安政5年(1858)来道し、万延元年(1860)までの3年間で函館周辺の砂鉄を使用して作刀したといわれます。刀の中子の片面に「源正雄」、もう一方の片面には「安政六年八月日於箱館以沙鉄造之」の刻銘があり、安政6年の作であることがわかります。
・なお、源正雄の作刀は数が少ないうえ、函館打ちのものは安政5年作銘が多く、安政6年銘は少ないといわれます。
このため、函館周辺の砂鉄を用いた安政6年銘の函館打ちの刀として、数少ない貴重な資料であり、昭和45年(1970)、道有形文化財に指定されました。
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北海道(地方指定文化財)