Tojihyakugomonjo
東寺百合文書(二万四千六十七通)
Details
東寺百合文書は教王護国寺の宝蔵、御影堂に伝来した寺院文書で、奈良時代から江戸時代初期までの全二四、〇六七通に及ぶ膨大な史料群である。
本文書は近世に入り幾度かの整理がなされるが、その最大のものが加賀藩主前田綱紀による整理調査であった。前田綱紀は後藤演乗等に命じて、調査、謄写を行い、その作業の終了した貞享二年(一六八五)に桐文書箱を寄進して、文書を収めさせた。このうち現存しているのは、片仮名四六箱、平仮名四八箱の計九四箱である。今回の国宝指定にあたり、保存修理によって開披可能となった伊勢国川合庄関係文書や宝荘厳院領重書案などの新出文書五三通を新たに追加している。
東寺は平安時代に真言密教の根本道場として朝廷などの保護を受け、中世においても大師(御影堂)信仰によって公武をはじめとする信仰を集め、多くの庄園を領有した権門寺院である。こうした東寺の宗教活動や寺院経済に関する史料である本文書は函ごとにある程度のまとまりで収められている。本文書の特徴は、まず東寺学衆と供僧の寺家文書である仏事・法会・祈祷、評定引付などにかかわる文書が中心を占め、次に公武との交渉を伝える文書が多いことである。これらのなかには太政官牒、官宣旨などの平安時代の太政官文書がまとまっているほか、綸旨、院宣、摂関家御教書、東寺長者御教書や鎌倉・室町幕府関係の文書など、各時代の文書、各様式の文書が含まれている。
寺院の中心的活動である仏事・法会・祈祷に関する文書には、修僧の請定・廻請・交名、着到・巻数返事等がみられる。うち後七日御修法修僧交名は平安時代後期から江戸時代前期ま…