絹本著色地蔵菩薩像〈東林筆/〉
けんぽんちゃくしょくじぞうぼさつぞう
概要
賛者の無逸克勤は天台瓦官教寺【がかんきようじ】の僧で、明の太祖がわが国に派遣した国使のひとりである。国使の一行は応安五年(一三七二)に来日、翌六年六月に上洛して九月に下向、翌七年には帰国しているが、このわずかな滞在期間中に無逸克勤らはわが国禅林との交りを深めたらしく、二、三の関係遺品を残している。克勤の「瓦官比丘【びく】」という自称の使用が来日を中心にきわめて短期間に限られることから、本図の賛も滞日中の交遊の中で書かれたものと考えられる。筆者の東林については詳らかでないが、図は当代における出色の作であり、制作年代も限定され、また中世の日中交渉史に係る意義をもつ点も貴重である。
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