二見浦
ふたみうら
概要
伊勢湾に臨む二見浦は、白砂の美しい砂浜が続くことから、古代より和歌の歌枕として広く知られ、特に中近世以降には、大小2つの立岩を中心に海神を祀る霊場としても崇敬を集めた。また、近世及び近代以降には、伊勢参宮に関連する霊場であるのみならず、立岩の隙間から拝む日の出の名所や海水浴の場としても注目され、優秀な海浜の風致景観から成る日本の代表的な名勝地へと発展した。
「夫婦岩」の名で有名な立岩が位置する立石崎から西の方角には、五十鈴川の河口に至るまで、延長約4kmにわたって河川の沖積作用と潮流により形成された弧状の砂浜が連続し、立石崎を含めて二見浦と呼ばれている。二見浦の後方には主に常緑広葉樹から成る樹叢に覆われた独立丘陵の音無山が控え、海浜とも一体の風致景観を構成している。また、二見浦は古くから製塩の場としても知られ、海浜に接して御塩殿神社などがある。
このような二見浦を構成する自然的諸要素は多彩で独特の性質を示し、古代から和歌の歌枕や信仰の霊地としてのみならず、近世・近代以降は風致景観の優秀な自然の景勝地としても名高く、その観賞上の価値は高い。